OpenAI vs Google: AGIについて正しいのはどちらか?

先日、OpenAI CEOのSam Altmanが「本物のAI Researcherが2028年3月までに実現するかも知れない。」とYoutube(1)でコメントしました。あと2年半にも満たない短い時間でほんとに実現できるのでしょうか? ライバル会社であるGoogle DeepMind CEO Demis Hassabisの発言とも比較して深く考えてみたいと思います。

1、2028年3月までに本物の AI Researcherを実現
人間の知能を超えてくるようなArtificial general intelligence(AGI)が果たしていつ頃実現すかについては専門家の間でも意見が分かれています。そんな中、OpenAI自身で作成したのタイムラインに従って「本物のAI Researcherが2028年3月までに実現するかも知れない。」とOpenAI CEOのSam Altmanがコメントしました。

もちろん社内目標であり、またAGIと言っているわけではありません。しかし研究者の役割をAIが担えれば技術開発は一気に加速しますし、現行の産業構造も変わってしまうことでしょう。そういったインパクトの大きい目標に対してタイムラインを引いたことは画期的なことだと思います。問題はその実現可能性です。このyoutubeでは技術的論点が語られてはいますが、それだけで実現可能性を説明するには不十分だと私は感じました。機密情報なので公開できないことも多いですが、もう少し踏み込んだ説明があれば良かったです。

2、現在のAIには一貫性が無い
ここで、AGIの実現について、Google DeepMind CEO Demis Hassabis の意見(2)を紹介しましょう。ご存知のように彼はDeepMindの共同創業者であり、2010年の創業当時からAGIの開発を目標としていました。それだけの経験がありながらAGIの実現にはまだ、5年〜10年かかると言っています。その理由の一つとして「現行の生成AIは、あるタスクに対しては博士号並みの能力を発揮するが、一方で簡単な高校数学でも間違うことがある。」とのことです。要はその能力に「一貫性が無い」ということですね。 AGIの達成に「一貫性」は必須であり、そのためには、さらに2〜3つのブレークスルーが必要になるそうです。かなり慎重な見方だと思います。その他の論点についてはぜひyoutube(2)をご覧ください。

3、一歩一歩着実にAI は進化している
両者のAGIの定義やタイムラインには相違がありますが、その実現そのものについては一致しているように思います。ブレークスルーがいつ現れるか予想することは出来ません。私たちがすべきことは「AGIの出現に備える」ことだけだと思います。2028年であれ、10年後であれ人類最高の発明と考えられるAGIを使って、どうすればよりより社会・産業・生活を実現できるのかを今から準備することが必要です。こう言っている間にもAIは水面下で進化していることでしょう。その成果をうまく取り込むべく、これからも様々な議論を続けていきたいと思います。

1) Sam, Jakub, and Wojciech on the future of OpenAI with audience Q&A, OpenAI, 30 Oct 2025

2) Google DeepMind CEO Demis Hassabis on AI, Creativity, and a Golden Age of Science | All-In Summit,  13 Sep 2025

 

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